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帰郷

この話は友人から「このシチュエーションで書いてくれ」と頼まれたもの。
シチュエーションが決まっていたおかげか意外とあっさり書けました。
個人的に雰囲気とか出せたかな?と思える作品です。
前回のものに比べると全く違う出来になったと思います。

・・・・・・短いけどね。
では以下から。



「この道懐かしいよな」
 助手席に座る男が突然口を開いた。髪が若干長い男で、身の周りの雰囲気は軽く、二十代中頃のようにも見えるが、ややもすると学生に見える。
「ああ、そうだな」
 運転中ということもあり、私は素っ気なく男に返した。
 男と私の関係はいわゆる幼馴染みであり、学友であり、悪友であり・・・・・・親友という間柄と言っても良い。
 私がこの男と一緒にこの道、我らが故郷へと続く道を走るのは久方振りとなる。
「確かに懐かしい」
 改めてそう考えると先程とは打って変わった感傷のこもった声が出てきた。
「・・・・・・」
 男は無言で窓の外、流れる景色、変わらない海原を眺めている。
 私はその様子を横目で流し見、視線を前方へ向け再び運転に集中する。
 私たちが故郷を飛び出したのは一体何年前だっただろうか。
 何も娯楽が無かった故郷。決して広いとは言えない街に、狭い人間関係。それに満足している両親たち。そんな何もかもに反発するように私たちは故郷を飛び出した、否、逃げ出したと言った方が良いのだろう。
 男も同じことを考えているのだろう、懐郷と悔恨が入り混じった表情をしている。
 しばらくお互い無言のまま走り続けた。
「ちょっと休憩しないか?」
そう言って車を車道の脇に停めた。私は車から降り、近くにあった自販機から紅茶を買い一気に煽る。そして胸元から煙草を取り出し一服する。
「なぁ、ここって確か・・・・・・」
 男が驚いたように呟き、尋ねてきた。
「ああ、前は港だったな」
 正確にいうと港の跡地で、その歴史は古くちょっとした観光地になっていた。もとより人が多く来ていた訳ではなかったので、今ではドライバー達の休憩所となってしまった。だがその名残として今でも石畳が残っている。
「結構綺麗な場所だったのにな」
 男は昔を思い残念そうに言った。
「そろそろ行こうか」
 吸い終わった煙草を携帯灰皿に納めると再び車に乗り込んだ。
 再び無言の時間が続くかと思われたが、その予想は外れることになった。男が口を開いたのだ。
「なぁ、あの海水浴場まだあったんだな」
 男が顎をしゃくり視線を促す。そこには季節外れで寂れた海水浴場があった。
「ああ、今でも海の季節になると結構人が来る」
「昔は良くあそこで遊んだな」
「お前は女に声をかけてばっかりだったじゃないか」
「それはお前だろ?」
「お互い様だ」
 そう言い合い、そして笑いあった。
 それから私たちは思い出話に花を咲かせた。道すがら見える島が何に似ていると言い合ったことや、故郷の駄菓子屋の話、家の裏に住み着いていた猫、小さい頃競い合うように悪戯ばかりしていたこと・・・・・・本当に懐かしい思い出ばかりだ。
 時も忘れた頃に私たちはその場所に辿り着いた。
 幼馴染みであり、学友であり、悪友であり、親友といっても良い男との別れの場所だ。
「今度はいつ帰ってくる?」
私たちが最後についた場所、それは故郷の町と海が見渡せる丘だった。
「さぁなぁ。今回はたまたま気が向いただけだからな」
 そこには切り出された石が丁寧に積まれていた。
「そうか」
 石には男の名前が彫られている。
「そのうちまた帰ってくるさ」
 そういうと男の姿が徐々に薄れていく。一抹の寂しさはあったものの悲しさは感じなかった。一度は済ませた別れだ、そんなものなのかも知れない。
 薄れた男と並び故郷と海を眺め見る。僅かな時間そうしていると男の姿はなくなっていた。
 もう逝ってしまったのだと思い背を向け歩き出す。そのとき海風が吹いた。男がまだそこにいるような気がして振り返ったがそこには誰もいなかった。
しかし私は男に向かって言った。

「またな」
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自称燃えと萌えを知る者MATSによる小説・SSブログ。
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